ジャスミンの徒然日記

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2022年度材料の力学1第1回中間試験 自作解説

はじめに

こんにちは,ジャスミンです。2年連続材料の力学1を頑張っています。自作の解答解説を作ってみたので書いてみることにします。参考にしていただけると嬉しいです。

目次

問題

大問1 熱応力

図のように固定された壁の間に二本の棒が直列に挟まっている。ここに温度\Delta Tを与えたときに棒(の長手方向)に発生する熱応力を求めよ。棒の断面積は等しくl,長さも等しくlとし,合成はE_1E_2,線膨張係数は\alpha_1\alpha_2とする。

大問2 最大主応力とトルク


図のように,直径d,高さhの円柱の下面は床に固定されていて,上面にトルクTを作用させる。円柱は密度\rho,合成Eの材料でできており,円柱には重力加速度gが作用している。

(1) 重力による上面の変異を答えよ。符号はどちらでもよい。

(2) トルクTにより部材に発生する最大せん断応力を答えよ。符号はどちらでもよい。

(3) 部材に作用する最大主応力を答えよ。

 ヒント:部材表面の場所によってモール円が異なるが,その内の最大主応力を考えよう。

 

略解

大問1 \sigma = \frac{E_1 E_2 (\alpha_1 +\alpha_2) \Delta T}{E_1 +E_2}

大問2

(1) \Delta l = \frac{\rho gl^2}{2E}

(2) \tau = \frac{16T}{\pi d^3}

(3) \tau = \frac{16T}{\pi d^3}

解説

大問1

棒1の熱による変形,熱応力による変形,棒2の熱による変形,熱応力による変形の和は0であることを利用します。応力による変形は\Delta l=\frac{Pl}{AE},熱変形は\Delta l=\alpha \Delta Tlとそれぞれ表せます。引張が正であることに注意して立式しましょう。

\alpha_1 \Delta Tl -\frac{Pl}{AE_1}+\alpha_2 \Delta Tl -\frac{Pl}{AE_2}=0

\alpha_1 \Delta T -\frac{P}{AE_1}+\alpha_2 \Delta T -\frac{P}{AE_2}=0

\frac{R}{A}(\frac{1}{E_1} +\frac{1}{E_2})=(\alpha_1 +\alpha_2)\Delta T

\frac{R}{A}(\frac{E_1 + E_2}{E_1 E_2})=(\alpha_1 +\alpha_2)\Delta T

求める熱応力\sigma

\sigma =\frac{R}{A} =\frac{E_1 E_2(\alpha_1 + \alpha_2)\Delta T}{E_1 + E_2}

とわかります。

大問2

(1) 最上面の変位

断面積A(x),荷重P(x),応力\sigma,ひずみ\varepsilon,変位\Delta lの順に求めていきます。最上面を原点として,鉛直下向きをx軸正の向きとします。

断面積は常に一定です。

A(x)=\frac{\pi d^2}{4}

荷重は最上面(x=0)から距離xまでの積分で求められます。

P(x)=\int_0^x A \rho gdx=A\rho gx

応力は定義式より求められます。

\sigma = \frac{P(x)}{A(x)}=\rho gx

ひずみも定義式から求められます。

\varepsilon (x)=\frac{\sigma(x)}{E}=\frac{\rho g}{E}x

変位はひずみを0 \rightarrow lxについて積分することで求められます。

\Delta l=\int_0^l \varepsilon dx=\frac{\rho g}{E}\int_0^l xdx=\frac{\rho gl^2}{2E}

(2) 最大せん断応力

せん断応力\tauはせん断弾性率をG,単位長さ当たりのねじれ角を\theta,棒材の半径をr,直径をdとして

\tau=Gr\theta=\frac{Gd \theta}{2}

と表せます。これに単位長さ当たりのねじれ角

\theta=\frac{T}{GI_p}

および断面二次極モーメント

I_p=\frac{\pi d^4}{32}

を代入し,

\tau=\frac{16T}{\pi d^3}

と求められます。

(3) 部材に作用する最大主応力

この部材の表面の一部分を切り抜いた面積素片について考えます(下図)。

 

 この正方形に働く力は圧縮応力が\sigma_x\sigma_y,せん断応力が\pm \tauです(下図)。

これらの値は(1),(2)より

\sigma_x=-\rho gx

\sigma_y=0

+\tau=\frac{16T}{\pi d^3}

-\tau=-\frac{16T}{\pi d^3}

であると分かります。このモール円はxの値が大きくなるほど左(マイナス)方向に大きくなりながら移動します。これは圧縮応力がかかっているため,部材の下に行けば行くほど(xが大きくなるほど)\sigmaは小さくなるためです。下にモール円を示します。

この図から,最大主応力はx=0\sigma_{max}=\frac{16T}{\pi d^3}だと分かります。